クラウドファンディングで1400万円の出資金を集めた話題の完全ワイヤレスイヤホン「AERO」
こちらの製品、一見どこにでもある普通のワイヤレスイヤホンに見えますが、独自の低遅延技術により音声ラグを驚異的とも言える50msまで縮めることに成功した『唯一無二のゲーミング特化のイヤホン』となっているのです。
これは、現在販売されているどの完全ワイヤレスイヤホンよりも低遅延であり、以前に話題になったRazerのHammerhead True Wirelessよりも更に音声ラグの少ない環境でゲームをプレイすることが可能になりました。
今回はそんな「AERO」の実力を、実際にゲームや音楽を聴いてみてレビューしていこうと思います!
- 「XROUND Low Latency™」技術により 50ms の超低遅延を実現!
- 特許3Dサラウンド技術でVRクラスのサラウンドを実現!
- PS5 / PS4 / Switch / PC も接続するだけで超低遅延に!

音ズレはもう感じない
最初に触れておくべきはなんと言っても音声遅延についてでしょう。
AEROの最大のウリ文句でもある超低遅延とは、独自の「XROUND Low Latency™」というローレイテンシー技術により、通常のBluetoothイヤホンの1/4とも言える50msという超低遅延の音声速度を実現しています。
これは3万円近いゼンハイザーの完全ワイヤレスイヤホン「MOMENTUM True Wireless」がaptX-LLを使うことでようやく実現していた60msの壁を、僅か1万円強の価格でしかもSBCという汎用性の高い規格で可能にしているという、まさに異常事態とも言える出来事です。
「完全ワイヤレスイヤホンはラグが酷くてゲームで使うのは実用的じゃない!」という従来の常識は、このAEROの登場によって完全に過去のものになりました。

遅延に特化した『音楽モード』と『ゲーミングモード』
AEROには、バッテリー持ちや接続の安定性を優先した『音楽モード』と、音声遅延を極限まで抑えた『ゲーミングモード』の二種類が搭載されており、イヤホン本体を長押しすることで自由に切り替えることができます。
ゲーミングモードではラグを少なくするために必然的に通信頻度が多くなるため、バッテリー持ちや音飛びなどの安定性に影響してくるようですね。
実際に使用してみたところ、やはりゲーミングモード時の安定性は今ひとつと言った感じで、たまに音飛びが発生することを確認しました。
バッテリーの持ちに関してはどちらのモードでも消費差はそれほど感じませんが、電波の混線が多い通勤や通学中の利用は極力『音楽モード』での運用が推奨されそうです。
ゲーミングモード時は安定性が低い分、極力自宅などの通信ラインが確保された場所で使用するのが良さそうですね。

遅延データ
ここで、各コーデックと音楽モード、ゲーミングモードでのそれぞれの音声遅延の差を見てみましょう。
対応コーデックとモード | 遅延 |
---|---|
SBC接続 ゲーミングモード | 45.8ms |
AAC接続 ゲーミングモード | 148.9ms |
SBC接続 音楽モード | 99.8ms |
AAC接続 音楽モード | 299.5ms |
これを見ると分かりますが、AACとSBC接続を比べるとどちらのモードもSBC接続のほうが2倍ほど遅延が小さいことが分かります。音声ラグを少しでも小さくしたシーンではSBC接続で繋ぐことでAEROの性能を余すこと無く体感できるでしょう。
ただし、SBCはAACに比べて音質が悪いため、遅延の影響がない音楽視聴の際にはAACを利用するほうが高音質で視聴できます。
なお、Androidでは音声コーデックの切り替えは基本的に自由に設定できますが、iPhoneではAACに固定されるため低遅延の恩恵は小さくなります。
iPhoneでの利用を考えている方は注意が必要ですね。

試しにGalaxyS10で音ゲーの中でも判定が厳しいことで有名な「バンドリ!」をプレイしてみましたが、ノーツに合わせるのではなく音のタイミングに合わせてノーツを叩いてみたところ、PERFECT連発は厳しいながらもGOODを継続してコンボに繋げられる程の低遅延っぷりを体感することができました。
その他にも「Fortnite」で撃ち合いでは有線イヤホンと遜色ない音声遅延を感じさせないプレイが可能でしたし、おおよそ9割以上のアプリでは遅延を体感することすら難しいでしょう。
これなら十分許容できる範囲内だと言えそうです。
逆にiPhoneではほんの少し音のズレが気になるケースが多いながらも、W2チップを搭載したAirPods Proとほぼ同等の低遅延に抑えられていました。
流石に完全無遅延とまではいきませんが、従来の完全ワイヤレスイヤホンとは比較にならないほどのテクノロジーの進化を身を持って感じることができるはずですよ。
PS4やSwitch、PS5も低遅延でプレイ可能

Androidではもはや有線と遜色ない低遅延を実現し、iPhoneであってもW2チップと肩を並べる低遅延を実現した扱いやすさが光りました。
AEROはコンシューマーゲーム機でも実力を余すこと無く発揮することが可能で、例えばPS5ではBT-W3のようなBluetoothドングルを使い、AAC接続であればAirPodsと同等、SBC接続であれば超低遅延でゲームをプレイすることが可能です。
もちろんPS5に搭載されている『3Dオーディオ』にも対応しています。
コンシューマー、モバイルとデバイスを問わず低遅延の恩恵を受けることができるのはゲーマーにとっては嬉しい限りですね。
ただ、Switchで使用するにもPS4,PS5で使用するにも本体はBluetoothオーディオに対応していないため、必ずBluetoothトランスミッターなどを経由する必要があるのは留意しておきましょう。
完全ワイヤレスで唯一『使える』と推せるゲーム用イヤホン
今までゲーミングを謳う完全ワイヤレスイヤホンというのは数々登場してきましたが、ここに来てやっと『普通に』使える製品が登場したなといった印象です。
ただ、この『普通』というのが実は凄いことで、Bluetoothの登場から数年、永遠の及第点でもあった遅延問題を体感でほとんど感じさせない技術にまで昇華していること自体がもはや奇跡と呼べる産物なんですよね。
秀でた音質ではありませんが、現状で違和感なく普通に使える完全ワイヤレスイヤホンというだけでAEROは製品として大成功を収めているといっていいと思います。それほどまでにワイヤレスの分野って不安定だけどテクノロジーに左右されるんです。
AEROは手に取ったときの満足感を満たしてくれるハイパフォーマンスなアイテムです。スマホでゲームするなら当分はこのイヤホン一択で間違いないですね。